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青いバラの開発

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  先日の高等学校の卒業式で、来賓である本学園の松下常務理事から、サントリーが開発した『青いバラ』の話をいただきました。実に感動溢れる内容ですので、今回紹介します。

  〝52期生の皆さんに、お祝いの言葉として『青いバラ』の話をします。
  バラは5,000年前から栽培されていましたが、品種改良が始まってから800年になります。バラというと「赤」が主ですが、今では白・黄・ピンクなど様々な色のバラもできてきましたが、これまで青いバラはできなかったのです。青いバラ、英語でいうとBlue Roseは、辞書に「不可能」を意味すると書いてあります。
サントリーは「やってみなはれ、やらなわかりまへんで」というのをモットーにしている会社ですが、1990年に青いバラにチャレンジすることにしました。このプロジェクトにあこがれてサントリーに入社し、中心となって研究した植物科学研究所の主任研究員 勝元さんに先日会って話を聞いてきました。
  まずひとつの花に数万個ある遺伝子から、青色遺伝子を抽出すること。次にその青色遺伝子をバラの細胞に入れる方法を開発すること。毎日気の遠くなるような実験をします。昨年やっと発売にこぎつけましたが、この間20年の歳月をついやしました。研究所で実験のため咲かせたバラは2万株です。
勝元さんは20年を振り返って、「絶対できるはず」という気持ちを持ち続けたのが、成功の原因だといいます。やっている本人が「無理じゃないかな」と思ってしまったら、もう終り、ひとつ失敗しても失望せず、「これがダメだということがわかった」という点では前進したと考えたそうです。
  そして、成功して、うれしい手紙を受け取ったそうです。
岡山に住んでいる難病と戦う小学生を持っているお母さんからです。娘さんの病気は、現在の医学では完治の方法が見つかっていません。しかし、「不可能の代名詞」といわれた「青いバラ」ができたのを聞いて、娘さんが「いつか必ず治る日が来る」と希望を見いだし、「感動と勇気をありがとうございます」と書いてあったそうです。
  こういう手紙をもらえたということだけでも、青いバラの成功の意味はあったと、私は思いました。
皆さんの人生はこれからが本番です。研究者が「どんなことでも簡単にできることはあまりないが、やってやれないこともあまりありません」と言っていました。自分のやりたいことにチャレンジしてください。
最後に「青いバラ」の花言葉を紹介します。
「夢はかなう」です。
皆さんのこれからの人生に幸多かれと祈ります。ご卒業おめでとう!〟

  私もこのお話を聞いて本当に素晴らしいと感じました。できるかできないかは能力の差というより、強い思い・執念の差であるのは間違いありません。最近はうまくいかないと、すぐにあきらめてしまうという傾向が強くなりつつありますが、何事も粘り強くチャレンジしていくことが大切であると思っています。