国際成人力調査(PIAAC:ピアック) の実施
国際成人力調査(PIAAC)のパンフレットより
OECDが世界の15歳の子どもたちを対象として行なっている「国際学習到達度調査(PISA)」の結果については、日本の子ども達の学力低下が顕著になってきているということが指摘されています。それでは、大人能力はどうなっているのでしょうか。これまでこのような国際的な調査が行なわれたことはありませんでしたが、ついに、経済協力開発機構(OECD)による「成人が社会で必要とされる能力」を測定する初の世界的調査「国際成人力調査(PIAAC:ピアック)」が2011年に実施されることになりました。
一口に言うと、ピアックは、「国際学習到達度調査(PISA)」の大人版で、日本、アメリカ、イギリス、フランス、フィンランド、韓国など計25カ国が参加することになっています。内容は16~65歳を「成人」として各国で無作為に抽出された男女5000人を対象にピアック調査員が直接面接、パソコンを使って出題するというものです。
問題は「読解力」「数学力」「ITを活用した問題解決能力」の3項目が用意されており、〝「読解力」や「数学力」では、文章や図表の情報を読み取って分析し活用する能力などを測定する。「ITを活用した問題解決能力」の調査では、たとえば「ウェブ上の情報を確認して自分のスケジュールを調整し、メールする」といった内容の指示を受けて、調査のために独自に作成されたメールソフトを使って「回答」する。また、学歴、職歴、収入のほか職場で求められている技能の内容、新聞・雑誌、学術論文を読む頻度などの回答データも測定に使われる〟ことになっているようです。
この結果は2013年に世界同時公表されますが、OECDでは、これらの結果の分析から成人に必要な「社会対応能力」を特定し、(1)各国の成人が持つ能力、(2)個人の能力と社会的な成功・経済成長との関係(3)教育や職業訓練制度の効果―を把握し、将来の政策に活かすことを目的としています。
また、日本も、文部科学省の国立教育政策研究所が中心となって、2010年に予備調査、2011年夏に本調査を実施し、「日本の大人の学力」の把握に取り組むとともに国際比較を行なうことによって、世代間の能力差など、日本の教育について考えるソースにしたいという狙いのようです。
本校では〝保護者も先生も共に学ぶ〟という「共学」を掲げていますが、大人も常に勉強するという姿勢が大切であると思っています。どのような調査結果になるのか、関心を持って見守っていきたいものです。