世界経済の動向~金融恐慌の持つ意味
将来社会で活躍するためには、これから世の中がどのようになっていくかをしっかりと把握しておくことが大切です。とりわけグローバル化がますます進展する中にあっては、常に世界経済の動きを注視しておかなければなりません。それでは、現状はどうなっているのでしょうか。
2008年から2009年にかけての世界経済はアメリカに端を発したサブプライム問題とリーマンショックの影響で大きく落ち込みました。各国は金融機関への資金の注入、超金利政策の導入や国内需要喚起のための景気対策等さまざまな対応を行なってきました。しかし、世界経済は未だに本格的な回復には至らず、後遺症にもがき苦しんでいます。
この最大の原因は、世界経済がアメリカの過剰な個人消費に支えられた歪(いびつ)な状況に依存してきたからです。分かりやすく言えば、アメリカでは個人が金融機関から借金をして消費に回していました。そして、多くの国はアメリカに輸出することによって経済成長を達成してきていたのです。しかし、今回のリーマンショックの結果、アメリカでは金融機関からの個人の借り入れができなくなったため、一気に経済が破綻しまいました。これが世界全体に波及することになり、日本においてもアメリカへの輸出依存度が高かった輸出産業を中心に大きな打撃を受けることになりました。その後、G7と呼ばれるアメリカ、日本、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア等の先進諸国においては懸命な景気対策を講じましたが、経済は今も本格的に回復しない状況が続いています。一方、中国をはじめとする新興国経済は個人消費や公共投資の拡大によって回復の兆しを見せ始めています。
アメリカ発の金融恐慌の持つ意味は〝世界経済の牽引役が先進国から新興国へと交替する〟言い換えると〝アメリカの一極体制から世界多極化体制へ移行する〟可能性が高まってきたということではないかと思います。