« 環境大使の活躍 | メイン | エネルギー産業の動向 »

世界のエネルギー事情

  20世紀は〝石油の時代〟と言われるように、石油がアメリカや日本、ドイツをはじめとする先進国の工業化に大きな役割を果たしてきました。石油は化石燃料であるため、常に後30年間で無くなると警鐘がならされながら新たな油田の発掘等が続き、これまで何とか需要に見合う生産量を確保してきました。しかし、中国、インド等の発展途上国の急速な経済成長に伴い、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料の需要がますます大きくなり、2030年には、世界のエネルギー消費量は現在の1.6倍に達すると予想されています。
  これを前提に世界のエネルギー供給可能量(可採年数)を予測すると、石炭が147年、石油が40.5年、天然ガスが63.3年と見込まれています。勿論、今後新たな油田や鉱山の発見の可能性もありますが、いずれにせよこれらは限りある資源であり、いよいよ化石燃料の枯渇が現実味を増してきました。
  しかし、今も石油が世界のエネルギーの主力であることは間違いありません。そして、これは取りも直さず二つの大きな問題を抱えているということになります。一つ目は、需要の見通しどおり石油需要が増え、世界中が中東からの輸入により多くを頼ることになれば、世界のエネルギー全体が中東の不安定な政情にますます大きな影響を受けることになるということです。二つ目は石油の供給が需要を下回ることになれば、エネルギー価格が高騰し、各国が必要な資源を確保することが困難になる可能性が出てくるということです。
  特に、エネルギーの大部分を石油をはじめとする海外の化石燃料に依存している日本は、将来の世界のエネルギー情勢の変化に大きく影響されることになります。今後、我が国のエネルギーの安定供給を図るためには、グローバルかつ長期的な視点に立って、化石燃料の確保につとめると共に新エネルギーの創出をはかる等の対策を講じることが不可欠であると思っています。

hatuden.jpg