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地球環境を守る~コウノトリ呼び戻す農法

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  秋分の日が過ぎ、黄金の稲穂がたわわに実り、いよいよ収穫の時期を迎えています。現在、日本の米作りはほとんどが大量の化学肥料と農薬に頼る農法になっていますが、安全性を追求したアイガモやコウノトリを使った有機農法による米作りに挑戦されている農家も出てきているようです。
先日の朝日新聞には〝田んぼに再びコウノトリ〟と題して越前市における里山の再生の興味深い記事が掲載されていましたので、紹介します。
  最近マスコミを通じて、豊岡市がコウノトリの繁殖に力を入れていることをご存知の方も多いと思います。かつてコウノトリやトキなどの大型鳥は日本各地で見られ、食物連鎖の上位に位置し、地域の生き物の豊かさを示す象徴であり、棚田という美しい自然環境の中で多様な生き物と共生していましたが、最近では棚田の消滅と共にこれらの鳥をほとんど見かけなくなってしまいました。
このコウノトリが生息していた40年前の棚田を再生させ、農薬や化学肥料を使わない有機米栽培に取り組んでいるところが福井県越前市の白山(しらやま)・坂口地区で、現在15の農家が5.6ヘクタールで有機米を作っています。通常、稲の栽培は8月の初旬になると、根を張らせるためにいったん水を抜きますが、ここでは一年中水を溜めたままにしています。このことによって、イモリやヤゴ、めだか、フナ、ドジョウ等が息づき、野鳥が餌を求めて集まってきます。これを『コウノトリ呼び戻す農法』と呼んで取り組んでいるのです。
  以前、コウノトリが生息する山林の谷あいの棚田は、湧き水とため池を利用した湿田でした。一年中田んぼには水が張られ、肥料は魚の骨やカニの殻を使っていました。ところが、土地改良という名のもとに大型の農機が普及し乾田に転換され農薬や化学肥料が使用されるようになったのです。このため、小魚をはじめとする小動物がいなくなり、コウノトリも飛来しなくなってしまったのです。
  このような活動が日本各地で始まっていますが、有機農法で育てられた作物は安全と環境にやさしいブランドとして次第に認知され始めています。今、いくつかの自治体ではコウノトリやトキの保護を行なっていますが、昔の稲作りの姿に戻すことが最大の保護政策ではないかと思っています。これからもこのような取り組みを注意深く見守っていきたいものです。