これからのエネルギー事情
今後、益々世界人口の増加や途上国の経済発展が予想されますが、地球の環境を守っていくためには、頭を完全に切り替え、これまでの枠組みを大きく変えることが大切です。20世紀を振り返ってみると、この100年間は石油というエネルギーをベースにした『大量生産・大量消費・大量廃棄』の時代でした。そして、世界の人口は実に4倍になり、物質的な豊かさを求めて人々は経済活動を展開してきました。しかし、一方で温暖化や異常気象、土壌・水質の汚染等、地球環境面においては極めて憂慮すべき事態を招いてきています。
これに歯止めをかけるには、化石燃料を使わないエネルギーの創出と効率的な活用が必要になってきます。これらはクリーンエネルギーと呼ばれており、代表的なものはほぼ半永久的に利用できる太陽のエネルギーです。これにはさまざまなものがありますが、大きく分けると太陽エネルギーを直接利用する「太陽光」「太陽熱」と間接的に利用する「水力」「風力」「海流」「海洋温度差」「放射冷却」「振動」「浸透圧」「波力」「大気熱ヒートポンプ」「地中熱」や「薪」「バイオ燃料」等です。また、最近「コ―ジェネレーション」「燃料電池」等も注目を集めています。
なお、「原子力」については安全性の観点からクリーンエネルギーに含めるかどうかという論議もあるようです。また、エネルギーの効率的な活用という面では蓄電の技術や新たな送電網づくりが進んできています。
これからの経済発展を考えた場合、エネルギー問題は食糧問題と同様、国家戦略として位置づけられなくてはなりません。今はそれぞれの国によってエネルギー事情が大きく異なるため、各国は独自のエネルギー施策をとっていますが、エネルギー自給率の低い日本にとっては、国民一人ひとりが今後エネルギー問題について関心を持つことが大切です。
これから何回かに分けてエネルギーに関する課題や新技術の動向について取り上げていきたいと思っています。