沖縄への研修旅行に向けて
11月9日(火)、中学3年生が沖縄への研修旅行に出発しましたが、この研修旅行にあたっての栞の巻頭言を紹介します。
〝今から7年前に「修学旅行」から名前を変えて、体験型になった中学3年生の「研修旅行」が実施されます。修学旅行の起源は、1886年に東京師範学校の生徒が、千葉県を12日間にわたって、長期遠足をしたのが始まりとされています。鉄砲を持ち、隊列を組んでの行進は鍛錬を目的としていましたが、数年後には一般の学校が、伊勢神宮などの参拝に訪れるようになったようです。
さて、本校の研修旅行の舞台は、日本の最南端に位置する沖縄です。沖縄といえば、青い海と美しいサンゴ礁に囲まれた素晴らしい景観を有するリゾート地である一方で、先の大戦で悲惨な経験を有し、日本にある米軍基地の70%以上が集中する基地としてのイメージを併せ持っています。しかし、それは近代以降の沖縄の顔です。江戸時代までは、独自の文化をもつ琉球王国という別の国でした。
今回の研修を通じて、皆さんは「平和」と「環境」の大切さを学びます。「平和」の面では、先の大戦で多くの方が尊い命を落とされ、今もその心の傷を抱えて生きておられる方もたくさんおられます。平和に関する史跡、祈念館を訪問することで、多くのことを学んでください。伊江島でも、島民の方からそういった話を聞けるかもしれません。今日の日本の繁栄と平和は、多くの犠牲の上で成り立っていることを、今一度見つめ直してほしいと思います。
「環境」の面で見ると、沖縄は多様な生物が生息する地域です。サンゴの観察と苗作り、生態観測など、自然とふれあう体験を通じて、私たちが住む世界には、多くの種類の生物がいることを再認識してほしいと思います。また、ホームステイでお世話になる伊江島では、水資源が乏しく、さまざまな工夫を凝らしておられる姿を見て、水の大切さも学んでください。
雲雀丘学園中学校の生徒として、沖縄の人、自然、平和とふれあい、この研修旅行が皆さんの心に残る有意義なものになることを願ってやみません。〟