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安易な選択を避ける

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  最近の就職内定率の低下は目を覆うばかりの状況であり、氷河期を通り越して〝超氷河期〟と呼ばれています。現時点の大学卒業者の内定率は58%ということになっており、10人のうち4人はまだ就職が決まっていないのです。本人は勿論のこと、保護者の皆さんも「苦労して折角大学に進学したのに」と頭を抱えておられる方も多いのではないかと思います。
  私はこれまで、厳しい時代が来ることを予想して、すべての分野において二極化が進むということを言い続けてきました。安定成長している時代は、多少の差があってもほぼ全員がある程度の結果を出すことができます。分りやすくいえば、これまでは最高と最低の格差は130:70くらいであったかも知れません。しかし、これからは300:0になります。企業の業績も大きく伸びるところがある一方で、従来のやり方を踏襲し続けて生き残れないところも出てきます。これは企業に限ったことではなく国も地方公共団体、病院、商店、学校、個人も同様です。つまり真の実力が試される時代になってきているのです。
  就職について考えると、このような厳しい雇用情勢の中でも何社もの内定を受ける学生もいる反面、100社受験してもすべて駄目という学生もいます。企業が求めている人材というのは〝社会で役立つ力を身につけている人〟なのです。これまでのように、〇〇大学の△△学部を出たからというのは、あまり採用の決め手にはなりません。要は〝何ができるのか〟〝これまで何をやってきたのか〟がポイントなのです。
  このような状況にも関わらず、保護者や生徒の皆さんの中には大学進学が最終目標のように考えておられる方がまだまだ多いようです。私もよく大学への進学相談を受けますが、まだまだ大学のブランドにこだわっているように思えてなりません。大切なのは将来何をやりたいのかということが明確になっており、そのためにはどういう力をつけるのか、その力をつけるためにはどの大学のどの学部を選ぶのかということです。「できれば国公立へ」とか「有名難関私大へ」という安易な選択は避けなければなりません。これが優先されると、入学後に「こんなはずではなかったのに」ということになりがちです。また、大学進学することだけが目標で受験勉強している生徒によく見られるのが、大学入学後における〝燃えつき症候群〟という現象です。いずれにしても常に将来に備えて、しっかりと社会で役立つ力を磨いておくことが大切であると思っています。