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学園教職員研修会~山極寿一氏による講演

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  本学園では、年1回幼稚園から中高の全教職員を対象に外部の講師の方をお招きして、教職員研修会を開催しています。一昨年の志ネットワーク代表の上甲晃氏、昨年のアート引越センター社長の寺田千代乃氏に続いて、今年は京都大学院の理学研究部教授の山極寿一氏に“家族の起源と少子高齢化社会”と題して、ご講演いただきました。
  山極氏はゴリラ研究の第一人者で「ゴリラ」「ゴリラと人の間」「ゴリラの森に暮らす」「ゴリラ雑学ノート」「オトコ進化論」等、数多くの著書を出版されています。
  山極氏がゴリラの研究を始められたきっかけは、“人間の特長や特殊性を少し離れたところから見てみよう”との思いからだそうです。お話の中で興味深く感じたのは、鳥や狼、猿などには家族と呼ばれるものがなく、家族と呼ばれるものがあるのは人間だけであること。人間が家族を形成するに至った理由として考えられるのは、森から草原へ進出したことによって、強力な捕食者の脅威にさらされることになり、必然的に多産になったこと。この結果、出産間隔が減少し、授乳期が短縮されたこと。人間は肉食ではなく雑食であるため、食べだめすることができず、絶えず食べ物を探し回る必要があり、この間誰かが子どもを守る必要が生じたこと。これによって、男が育児に参画するようになったこと。人間以外の動物の一生は、母乳を飲む「乳児期」、大人の物を食べる「少年期」、子どもをつくる能力を有する「成年期」、その後の「老年期」の4期に分かれているが、人間の場合には乳児期と少年期の間に「子ども期」があり、更に少年期と成年期の間に「青年期」があり、更に長い老年期があること。そして、人間は2年しか乳を飲まないが、6歳にならないと永久歯が生え揃わないため、この間は固いものが食べられないこと。人間の脳は直立二足歩行に移行後、700万年~200万年は500cc~600ccであったが、石器の使用を始めてから脳容量が急速に増大したこと。また、乞われないのに与えるのは、人間独特のものであり、人間の食に不可欠な「上の躾」と「下の躾」があること。多子高齢化が少子高齢化に移行する中にあって、それぞれの役割を果たすためにも、高齢者は子ども達と付き合うようにすることが大切である。等です。
  最後に、ゴリラは獰猛(どうもう)で悪役のように思われているが、これらは間違いであり、ゴリラと人間とを比べるとゴリラの方が優れていることが、いくつもあることを熱っぽくお話しいただきました。
  近年、核家族が進む中にあって、親子をはじめ家族の関係が希薄になってきていますが、今一度家族というものについて見つめ直していかなければならないと思いました。