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始業式にあたって~プラス思考の大切さ

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  1月8日(土)、心配していた寒さも和らぎ暖かい日差しのもと全校生が校庭に集合、3学期の始業式において、次のような話をしました。

  〝皆さん、明けましておめでとうございます。一人ひとりが有意義な休みを過ごし、自分なりの決意をしっかりと胸に秘めて、力強くスタートされたのではないかと思います。年の初めにあたって、今日はプラス思考の大切さについてお話しします。
  私の友人に和歌山県の日高川町の町長をしている玉置和久氏がいます。玉置氏は松下電器の四国支店時代の同僚ですが、父親の死を機に家業のみかん農家を継ぐために29年間勤めた松下電器を退社し、生まれ故郷に帰りました。この日高川町というのは、人口がわずか1万1千人で、65歳以上の住人が半数を超す「近畿のチベット」と評される過疎化の進む町です。しかし、玉置氏はこの故郷を「近畿のオアシス」に変えたいという思いで観光協会を設立し、数々のイベントを立ち上げました。
  まず、手がけたのは木材を使ったログハウスづくりの運動です。本校には手作りの椅子と机がありますが、これらは玉置氏の紹介で作っていただいたものです。続いて、手がけたのは安珍清姫の伝説で有名な道成寺(どうじょうじ)というお寺に因んだイベントです。この伝説は安珍というお坊さんを慕って清姫が大蛇になって追いかけ、安珍が隠れた道成寺の大きな釣鐘をとぐろで巻いて焼き殺すという物語ですが、先日亡くなった人間国宝の中村富十郎さんを招いて歌舞伎「娘道成寺」を奉納しました。
  また、秋に実施されていた「笑い祭り」を正月に取り込んで「初詣初笑い神事」を行ない、多数の参拝客を引き入れました。更に備長炭日本一となった日高川町をPRするために、特産のホロホロ鳥を11メートルの一本串で焼く「世界一長い焼き鳥」に挑戦、これが全国8市町村を巻き込む焼き鳥合戦に発展しました。このような成果によりさまざまな賞を受賞、ついには、2009年に町長に担ぎ出されました。
  そして、〝逆境を逆手に日本一の町づくり〟をスローガンに、地域の活性化に取り組んでおられます。最近は、田畑の作物を食い荒らすイノシシやシカなどをジビエとして売り出すビジネスをスタートさせ「ジビエ工房紀州」を設立しました。このビジネスは鳥獣害と環境問題を美食に結びつけたということから農林水産省からも注目されており、全国からも多くの方が見学に訪れています。また、今年は25メートルの焼き鳥に挑むとのことです。
  玉置氏は「何とかして町を活性化したいという強い思いでまわりを見渡すと、安珍清姫伝説の道成寺、紀州備長炭、ホタル、星空、森林浴、ヤッホー(こだま)ポイント、大阪から90分の交通の便等一杯宝物を持っている。これらの資源を生かして日本一のまちづくりに励みたい。」と抱負を語っています。
  海外の人から見ると日本には数多くの宝物があります。また、皆さんのまわりにも宝物はたくさんあります。ただそれに気がついていないだけかも知れません。今年もプラス思考で前向きに行動し、充実した一年にしていただきたいものです。
  最後に、高校3年生の皆さん、センター入試まで一週間になりました。体調を整えてベストのコンディションで本番に臨んでください。健闘を心より祈っています。〟

  ≪参考≫ フロンティアエイジ(ニューシニアの情報新聞)を検索していただくと
       日高川町の取り組みがご覧いただけます。