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食料の高騰

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  コメ、小麦、トウモロコシ、大豆の国際価格は08年2~7月に史上最高値をつけた後は下落に転じていましたが、ロシアが干ばつで穀物輸出を停止した昨年8月ごろから再び上昇し始め、現在は小麦・トウモロコシで最高値の9割、大豆で7割、コメで5割の水準にまでなっています。また、最近では砂糖やコーヒー等も高騰してきています。
  農林水産省は08年度から毎年、米農務省や国際機関の統計をもとに独自の手法で食料需給の見通しを試算しており、このたび2020年までの食料需給の見通しについて発表しました。
これによると、「途上国・新興国の人口増と所得向上による食生活の変化で食料需要が増え続け、多くの食料が高騰する。コメ、小麦など穀物の国際価格は07~09年平均との比較で24~35%高くなる。
  需要面の見通しでは、世界的な人口の増加に加え、中国などの新興国において肉や乳製品、卵、油脂類などの消費が増える。そして、これらの生産に必要な飼料穀物や大豆の需要が増加する。また、バイオ燃料向けの需要も伸び、20年の穀物消費は08年より5億トン多い27億トンに達する。
  一方、生産面では地球温暖化による洪水や干ばつなどが頻発し、水資源の不足も深刻化する。この結果、単位面積当たりの収穫量は伸び悩み、穀物生産は08年の22億トンから20年は26億トンに増えるものの需要増大に追いつけなくなる。そして、08年時点で20%あった穀物在庫率は国連食糧農業機関(FAO)が危険水準とする17%を下回り、15%まで低下する。この結果、いずれも20年までに再び最高値を更新する。」と予測しています。
  食料は人間が生きていく上で不可欠であることから、食料価格の高騰は各国の政治に対する不満となって現れてきます。現在、チュニジアやエジプト等中東諸国で相次いで起こっている政変もこの食料問題が引き金になっていると言われており、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国であるフランスのサルコジ仏大統領は主要議題に食料の価格安定策を据えるよう提案しています。これは、食料価格の高騰が新興国の需要拡大といった要因だけでなく、投機マネーが商品市場などに流れ込んだことも背景にあるとみられているからです。
  また、各国が輸出制限やバイオ燃料の拡大等自国の利益のみを追求すると食料価格の高騰を助長することになります。そして、国際社会における政情不安といった原因に繋がり、これが自国に跳ね返ってくるのです。これからは相手の立場を尊重するといった〝共生〟という考え方が大切になってくると思っています。