全校朝礼~バナナ哲学
2月23日(水)、校庭で中学・高校合同の全校朝礼を行ない、次のような話をしました。
〝高校3年生が卒業し、間もなく高校2年生は最上級生に、高校1年生は2年に、中学3年生は高校生に、中学2年生と1年生はそれぞれ進級します。この1年をしっかりと振り返り、新しい年度に備えてください。
さて、この一年間、全校朝礼で中学の皆さんには「環境」、高校の皆さんには「グローバル化」というテーマでお話をしてきました。グローバルというのは地球という意味ですから、グローバル化というのは地球規模で色々なことが起こってくるということです。今日は中学・高校合同ということなので、環境とグローバルの二つに関係した話をします。
現在世界の人口は69億人になり、この100年少しの間に約4倍になりました。世界で一番人口の多い国は中国、二番目はインド、三番目はアメリカですが、四番目はどこか分かりますか。正解はインドネシアです。今日はこのインドネシアについてお話します。現在のインドネシアの人口は2億3千万人で日本の約2倍、国土面積は約5倍で約1万8000の島があります。そして、東の端から西の端までの距離はアメリカ合衆国の東海岸から西海岸までとほぼ同じです。
私は以前この国で生活したことがありますが、赤道直下にあるため、とにかく暑い。朝から太陽が照りつけると、すぐに人間の体温くらいになります。ほとんどの人がイスラム教徒で豚肉を食べませんし、ラマダンという断食月があり太陽が上がっている間食べ物は一切口にしないという習慣があります。そのため仕事の能率が極端に落ちてしまいます。何よりもお祈りを大切にするため、会議をしていてもお祈りの時間になると一人抜け、二人抜けということになって、気がつくと日本人だけが残っていたということになります。このように宗教の影響が強く、会社の中にもモスク(礼拝堂)があります。
そして、水が大変貴重で、生水を飲むとたちまち下痢をします。日本では「湯水のように使う」という言葉がありますが、これは無駄遣いをするという意味です。同じ言葉がイスラムの世界にあるのですが、この意味は全く異なり、大切に使うという意味になります。松下電器では何のために企業活動を行なうのかを明確にしています。これによると企業の使命は「安価な製品を大量に世の中に提供することによって人々に快適な暮らしをしてもらうことである。貧しい人がよその人の食べ物をとると罰せられるが、黙って水道の水を飲んでもとがめられることはない。従って水道水のように安い製品を作り社会生活を向上させる。」というもので『水道哲学』と呼ばれていました。この水道哲学の考え方を現地の従業員に伝えていかなければなりませんが、インドネシアではこの話は通用しません。そこで、考えた挙句、『バナナ哲学』ということにしたのです。バナナの木は一年生草で、一年で実をつけます。家に二本植えておくと一本は自分達の生活のために、残りの一本は売って生活の糧にできます。このようにして、従業員に会社の考え方を教えていったのです。
皆さんはインドネシアについてどのようなことを知っていますか?観光地であるバリ島、スマトラ沖地震、スカルノ大統領とデビ夫人、オランウータン等が思い浮かぶのではないかと思います。
今、インドネシアは人口が多く今後も増え続けていくこと、天然ガスや石油、ゴム、植物性のココナツ油脂等の豊富な資源に恵まれていることで注目されています。しかし、国力を表すGDPはまだ日本の10分の1の規模しかなく、今後大きな経済発展が見込まれています。そして、このインドネシアに適した商品が開発されてきていますが、どういうものなのか考えてみてください。次の朝礼でお話します。〟