中東動乱の日本への影響
チュニジアで起きた政変は瞬く間にエジプトに飛び火し、20年間近く続き磐石と思われていたムバラク独裁政権がわずか18日間であっけなく崩壊してしまいました。この政変の影響は更にリビアやヨルダン、バーレーン、オマーン、イエメン、クウェート、サウジアラビア、更に非アラブのイランにまで波及してきています。これらの政変は、これまでの突出したリーダーが軍事力で体制を覆すという従来の革命とは全く異なるもので、インターネットの果たす役割が極めて大きいというのが特徴です。そして、この情報は交流サイト「フェイスブック」によって中東以外の中国や北朝鮮にも瞬時に伝わり、世界的な広がりを見せ始めています。
このようにわが国から遠く離れた地域での紛争ですが、日本にとっては全く予断を許さない危機的な状況であると考えなければなりません。その最大の懸念は原油生産・輸出量や価格への影響等石油に関するものです。何故なら日本のエネルギー消費の約半分は石油が占めており、このうち中東に依存している割合は90パーセント近くを占めているからです。仮に日本に中東からの石油が入らなくなったり、原油価格が急騰すると、さまざまな産業に影響が出てきます。こうして折角回復し始めた企業業績にも先行きの不安が生じることになります。また、物価上昇という形で我々の日常生活にも跳ね返ってきます。これからも中東情勢を注視していきたいものです。