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注目すべき新技術~石油を作る藻

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筑波大学が発表。バイオ燃料に適した藻。


  今、世界では新興国が著しい経済成長を遂げる等大きく変化してきていますが、その一方で新しい技術が続々と生まれてきています。ところが、現状はこのような情報がなかなか一般の人に伝わっていません。そして、暗い情報ばかりが報道されるため、どうしても日本人全体が将来に対して夢や希望を持ちにくくなってきているように感じています。「最近の若者は・・・」という話を聞きますが、残念なことに大人も含めて「日本の将来は暗い」と思っている人が圧倒的に多いのです。
  私は生徒達に対して「夢や目標をしっかりと持つ」ことの大切さと同時に、色々な成功事例や新技術についての話を伝えるようにしています。先日の高校1年生のオリエンテーション合宿においても、企業のユニークな取り組みやこれから注目される新技術について紹介しました。これらを順次、このブログで紹介していきたいと思います。
  最初は「石油を作る藻」の話です。藻類の中には水中の有機物をもとに炭化水素を作り、細胞内に取り込む性質を持つものがあることが知られており、多くの機関において研究が進められてきています。そして、これまでこれらの性質を有する複数の藻類が確認されていますが、今回筑波大学の研究チームが「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻に注目し、東京湾やベトナムの海等で計150株を採取し、これらを分析した結果、沖縄の海で採れた株が従来の10倍以上も高い油の生産能力持つことが確認されました。この藻は海水や泥の中にすんでおり、球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)という極めて小さいものですが、同研究チームの試算によると、面積1ヘクタール、深さ1メートルのプールで培養すれば、年間約1万トンの化石燃料である重油に相当する炭化水素を作り出すことが可能であるとのことです。この試算どおりに油が生産できるようになれば、約2万ヘクタールの生産設備で現在の日本の石油輸入量に匹敵する生産量が確保されることになります。これは現在の日本の耕作面積460万ヘクタールのわずか0.5%に相当する広さです。
  また、この藻は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水等を浄化しながら油を生産できるという一石二鳥の構想も浮上しているのです。
今回の大震災によって多くの耕作地が失われると共に原子力発電所の事故によってエネルギー政策の見直しが迫られる中で、このような新たな取り組みを加速していかなければならないのではないかと思っています。