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日本における電力事情を知る

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  東京電力福島原子力発電所の事故が起きて、間もなく2カ月が経過しようとしていますが、なお予断を許さない状況が続いています。原子力発電に対する安全神話が崩れてしまった今、日本のエネルギー政策については抜本的な見直しが必要になってきました。この度、最も危険度の高いと言われている中部電力・浜岡原発の全停止の方針が打ち出されましたが、このような局所的な対応では解決には至りません。
  大震災以降、原子力発電は危険だから即刻廃止すべきであるという声が高まってきていますが、これによって代替エネルギーが容易に確保できるかというと答えは「否」です。これまで、日本においては夏場における電力不足の懸念はあったものの、基本的には電力は安定的に供給されるという前提で、国民生活が成り立ってきました。私達の家庭においても、エアコン、冷蔵庫、テレビ、照明器具、調理器具等数多くの電気製品の使用は当たり前になっていますし、24時間営業のコンビニ、いたるところにある自動販売機、電車などの交通機関、スポーツや娯楽施設等、生活が豊かになるにつれて電力使用量が増大してきました。また、日本経済を支える産業分野においては、電力の供給は不可欠であり、特に大型設備を有するメーカーにあっては安定的な電力供給がなければ、たちまち生産に支障をきたすことになります。
  仮に、電力が不足するということになれば、多くの分野でさまざまな支障が生じてくるのは間違いありません。現在、発展途上国では停電することは珍しくありませんし、日本でも以前はよく停電が起き、各家庭には大きなローソクや懐中電灯が常備されていました。しかし、最近では停電するということはほとんどなくなってきました。これは増大する電力需要に対して、電力各社が積極的に発電所の建設を進めてきたからです。そして、地球温暖化防止のためのCO2削減という課題をクリアするために、政府として原子力発電所の建設をエネルギー政策の柱として進めてきたのです。
  今回の原発事故を契機に、現在の日本における電力事情をしっかりと理解した上で、今後の電力のあり方について考えていくことが大切であると思っています。