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学校経営~教育界の現状

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  昨今の教育界を取り巻く環境は激変してきていますが、最大の特徴を一言で表すと「少子化による児童・生徒数の減少」ということになります。これは、パイの大きさが一定という〝ゼロサム〟よりも厳しい状況であり、パイが〝シュリンク(縮小)〟するということです。このような状況下では当然のことながら競争が激化することになり、過去の延長戦上の取り組みを続けていれば生き残りが難しくなってきます。
  そのため大学を持つ学校法人による中・高の系列化や小学校の設置、男子校・女子高の共学化、入試制度の見直し等さまざまな動きが出てきています。また、公立高校の無償化や大阪府における新たな私学助成施策の導入、進学特色校の設置等も個々の学校にとっては大きな影響を与えることになりました。この結果、本年度の私立小学校、中学校、高校、大学の入試においても従来以上に二極化が進みました。また、先日の大手学習塾の決算発表の結果も非常に厳しい内容でしたが、これは生徒獲得のために多大のコストがかかったということです。これは学習塾に限ったことではなく、学校や予備校や幼稚園においても同様です。
  かつての児童・生徒の急増期には私立学校には多くの生徒が入学し、多額の納付金収入によって学校経営は安定していました。そして、待っていても生徒が来てくれるという状況でした。これは高度成長期に企業が数量や台数を見ておけば販売高が伸びたのと全く同じです。また、日本経済も好調で、各家庭の家計にも余裕があり、納付金の増額も容認されてきました。しかし、バブル崩壊後、日本経済は20年間にわたって、大きな成長が期待できない状況が続いています。そして、児童・生徒数が減少し、私学にとっては入学者の確保が難しい状況になってきています。一方で、ほとんどの学校において、教職員の給与体系は年功序列型になっているため、経費の大半を占める人件費は退職者が出ない限り年々増加していくことになります。この結果、既に経常収支が赤字になるケースも出てきており、教育活動そのものに対する積極的な投資や耐震補強・校舎建設といった施設整備にお金が回らなくなってしまいます。しかし、過去の蓄えを取り崩しながら何とか経営をしていくという状態は長続きしません。幸い本校はこれまでの努力により健全な学校経営が行なわれてきていますが、常に経営課題を明確にし、適切な手を打っておくことが大切であると思っています。