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生態系と食物連鎖

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  今回の北海道の修学旅行においては、感響(環境)プログラムの中で、エゾシカやヒグマの生態について調べることになっていますが、この狙いはどのようにして生態系が成り立っているのかを理解することです。 このように「食う⇔食われる」という関係によって直線上に繋がっているものが〝食物連鎖〟と言われるもので、それぞれの生物の量的な関係が問題になります。自然界では食う方が多くなれば食われる方は少なくなりますが、食われる方が少なくなれば餌が減ることになり、最終的には食う方が少なくなります。このように自然界では「食う⇔食われる」という関係を通して生物の量的なバランスが保たれているのです。
  現在、北海道においては、エゾシカによる環境被害が大きな問題になってきています。主なものは牧草地の被害拡大、農業被害、交通事故や自動車事故等ですが、これは近年エゾシカが急増したことによるものです。そして、何よりも憂慮すべきは森林内の下草だけではなく天然林の稚樹にまで食害が及んできていることであり、この状態が続くと若木の成長が期待できず、数10年後には深刻な事態に陥ることが予想されます。
  かつて、エゾシカは食用として年間10万頭が捕獲されていましたが、このままでは絶滅の危機に瀕することになるという理由で、1888年に捕獲が禁止され、その後捕獲の解除と禁止が繰り返されてきました。エゾシカは繁殖力が旺盛で、1歳で成熟し、2歳から毎年出産するため、年率20%くらいの割合で増加します。これは4年で約2倍になるという超ハイペースであり、最近の調査では、驚くべきことに全道で60万頭を超えるエゾシカが生息しているようです。
  現在、エゾシカによる被害を防ぐために、エゾジカの肉を〝食べて環境保全する〟等の対策が検討されていますが、このような事態を招くことになったのは単なる捕獲の禁止だけではありません。今回の修学旅行を通じて、しっかりとこの原因を学習し、生態系についての理解を深めておいて欲しいと思っています。