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食の重要性についての認識を高める

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  人間が生きていくための基本である食の重要性について理解しておかなくてならないことは数多くありますが、個人、国、世界レベルでの課題を三つあげたいと思います。
  一つ目は「個人レベルでの健康」に関する問題点です。本校においては〝将来社会で役立つ人材の育成〟を教育方針に掲げていますが、社会で活躍するためには「健康である」ということが大前提です。しかし、案外この当たり前のことが解っていないと思われるケースが散見されます。多少無理をしても若い時には何とか乗り切ることができます。また、日常生活に支障をきたしていない場合には、ついつい健康や食物に対しても無頓着になっているケースが散見されます。そして、病気になって初めて健康の有難さに気づくのです。私もこれまで民間企業での勤務を通じて、優れた能力を有しながら健康を害して十分な活躍ができなかったという人を何人も見てきました。健康管理のポイントは〝睡眠〟〝食事〟〝運動〟であると言われていますが、とりわけ1日3回の食事に気をつけている人とおろそかにしている人とでは、長い間には健康面で随分大きな差になってくると思います。
  二つ目は「国レベルでの医療費」に関する問題点です。2010年11月に厚生労働省が発表した医療費の総額は過去最高の34兆8084億円で、国民一人当たり27万円2600円という数字になりました。これは、1か月に直すと一人2万円強という金額になります。そして、高齢化に伴い、この医療費は年々増加してきており、国家財政を圧迫するという深刻な事態を招きつつあります。
  三つ目は「地球レベルでの環境」に関する問題点です。日本の食料自給率は40%しかなく、海外から大量の食料を輸入していますが、これに伴う船や飛行機のエネルギー消費量や輸送費は膨大な金額になっています。また、これにより生産国において大量の水や肥料を使い、二酸化炭素を発生させているのです。
  このような問題を解消し、健康を維持し、医療費を下げ、地球環境を守るということが大切です。最近、「食の西洋化」が急速に進み、若い人を中心にパンや牛乳が主体になっているようですが、これは三つの問題点を解決する方向に逆行しているのです。食育月間にあたって、今一度、日常の食生活を見直していくことが必要であると思っています。