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EU(欧州連合)の経済不安~PIGS

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  EU(欧州連合)には現在27カ国が加入しています。この変遷を見ると、1952年に西ドイツ、フランスなどの6か国がヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)を発足させ、次いで1958年にヨーロッパ経済共同体(EEC)を結成。更に、このEECは1967年に欧州共同体(EC)へと発展しました。その後、1991年にEU・ヨーロッパ連合を作ることが決まり、1993年にEUが正式に発足しました。そして、人・物・資本・情報が国境を越えて自由に往来できる政治・経済両面での統合を目指し、順次ヨーロッパ周辺の国を加えてきました。とりわけ2004年には旧東欧諸国のチェコ、スロバキア、エストニア、ハンガリー、リトアニア、ラトビア、スロベニアポーランド等10カ国が加わり、更に2007年にはブルガリア、ルーマニアが加わり、現在に至っています。
  そして、調印した国同士では、国境の出入りにパスポートの必要がなくなり、自由に移動ができるようになっており、2002年1月にはEUの共通通貨であるユーロが16カ国で導入されました。(イギリス、デンマーク、スウェーデンは等は未導入)
  ところが、これらの国々にあってはあまりにも経済規模や債務の状況が異なっています。そして、残念なことに近年財政危機が心配される国が出てきました。これらは大きな赤字を抱えるポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインですが、この頭文字をとって『PIGS』という不名誉な呼び方をされています。また、この4国にアイルランドを含めて『PIIGS』という表現も使われています。
  これまで、アルゼンチンやロシア、韓国において財政危機が発生しましたが、これは国債の利回りが上がることによって、利払い負担が過大に増えるからです。これを乗り切るためにIMF(国際通貨基金)が超低金利での貸し出しを行ない、緊縮財政と為替相場の切り下げ、金融の引き締めに動いてきました。しかし、EUで財政危機に陥っている国はユーロという共通の通貨になっているため、通貨切り下げという切り札が使えないという状況にあります。これは急速な回復が期待できないということを意味しており、ドイツやフランス等支援を続けている国にとっては、厳しい世論が出始めているようです。
  グローバル化が進むと、一国の経済危機がドミノ倒しのように全世界に波及することになります。わが国の経済にも大きな影響が出る問題だけに、この動きをしっかりと注視しておきたいものです。