ギリシャに端を発する経済危機
現在、世界経済は予断を許さない状況に陥っています。その最大のものはヨーロッパにおける経済危機とアメリカ経済の低迷です。このヨーロッパにおける経済危機の大きな原因はギリシャの財政問題です。つまり、ギリシャの借金が膨らみ過ぎて、返済不能になってしまう可能性が出てきているからです。分かりやすく言えば企業が倒産するのと同じように国が破綻するということです。
実はEUにおいては〝国の年間の財政赤字をGDPの3パーセント以内にする〟という一定のルールが決められていました。ところが2009年にギリシャの政権が交代し、前政権が公表していた3.9パーセントという数字が実は12.8パーセントであるということが発覚してしまったのです。そして、現在は15.4パーセント、借金総額は33兆円にまで拡大してきていると言われています。国の借金(国債の発行額)が増えると、その返済や利子の支払額が増えて、最終的に返済できないことになります。これがデフォルトと言われるものです。
それでは、どうしてアメリカや日本と比べて経済規模の小さいギリシャの財政悪化が世界経済に影響を与えるのかということですが、それはギリシャがEU(欧州連合)の一員であり、ユーロという共通の通貨を持っているからです。そして、ギリシャ国債を色々な国の政府や金融機関、とりわけドイツ・フランス等のEU加盟国がたくさん買っているため、デフォルトになれば、これらの国に多大な損失が発生することになります。特にスペインやポルトガルやイタリア等もかなり財政が苦しくなっていると言われているので、ギリシャが破綻すると、連鎖的にこれらの国が破綻する可能性が出てきます。つまり、企業の連鎖倒産ということが国レベルで起こるということです。これは以前のサブプライムローンと同じパターンです。そうなれば、日本やアメリカにも波及していくのは避けられません。
現在、日本においても為替、株価、輸出等さまざまな影響が出てきています。この状況をしっかりと把握しておくと共にどうしてギリシャがこのような事態に陥るようになったのか、また膨大な国の借金を抱える日本は今後何をしなければいけないのかを考えていかなければならないと思っています。