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秋彼岸にあたって

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  昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われていますが、朝晩は随分冷え込んできました。昨日(9月23日)は「秋分の日」で祝日でしたが、この日を中日として前後3日間は彼岸(秋彼岸)と呼ばれており、この期間には先祖の霊の供養を行なうことになっています。私も奈良の十輪院にある先祖のお墓参りに行ってきましたが、多くの方が家族でお参りにこられていました。
  ところで、彼岸というのはもともと古代インドの梵(サンスクリット)語からきた言葉で、本来は「到彼岸」波羅蜜(パーラミータ)が語源です。日本では圧倒的に仏教の家庭が多いのですが、戦後、一部の私学を除いて学校での宗教教育を行わなくなったこともあって、彼岸の意味を知らない人も多くなっています。
  仏教では、私達が住む迷いや煩悩に満ちた世界は「此岸(しがん)」、一方苦しみのない涅槃常楽(ねはんじょうらく)な悟りの世界を「彼岸(ひがん)」と呼んでいます。そして、到彼岸というのは〝彼岸に到る〟という意味で、「悟りの世界」へ渡ることを願って、行いを慎むことなのです。このために六つの修行(六波羅蜜)を行なうように定められていますが、分かりやすく示すと次のようになります。
 
◇布施:他人に対して財や行ないによって施しをする
◇持戒:自分を戒め、迷惑をかけず、日常生活の諸規則を守って人間らしく生きる。
◇忍辱:不平不満を言わず、苦しいことがあってもじっと耐える。
◇精進:心身を精励し、あらゆる努力を惜しまない。
◇禅定:心を乱さず現在していることに心を集中させ、日常の一挙手・一投足を大切にする。
◇智慧:様々な修行を通し自分本来の姿に目覚める知慧(ちえ)を理解し、上記五つの実践を支える。

  また、世界にはさまざまな宗教がありますが、表現の仕方は違っても共通する点が多いように思います。本来、これらの実践は彼岸の時期だけではなく日常から心がけておかなくてはならないものです。一人ひとりがこれらの実践を通じて、人間力を高めていきたいものです。