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グローバル化の中の日本

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  日本はグローバル化の波に乗り遅れたため、国際競争力がこの20年間で急落してきています。毎年、IMD(スイスの有力ビジネススクールである経営開発国際研究所)が世界の国々の競争力を発表していますが、『2010年の世界競争力』によると、日本の総合順位は58カ国・地域で27位となっており、前年の17位から急落しました。この調査が始まった1989年から93年までの5年間、日本がトップであったことを考えると、「失われた20年」という表現がピッタリすると思います。
  実は1989年というのは実にエポックメイキングな出来事が重なった年なのです。日本では1月に昭和天皇が崩御され、年号が平成に変わりました。また、中国では6月に天安門事件が起こりました。更に11月にドイツのベルリンの壁が崩壊したのです。このベルリンの壁の崩壊という史実は単に東西ドイツの統一といったことだけではなく、東西冷戦が終結したということを意味しています。そして、世界全体の枠組みが変わり、経済のグローバル化が一挙に加速されることになったのです。
  分かりやすく言えば、東西冷戦時代には鎖国状態であった旧東側諸国や中国等が世界経済の一員となることで、国際的に人件費が急激に下がることになりました。これまでは西側諸国だけで行なわれていた経済活動の範囲が大幅に広がることになったのです。そして、安い人件費の国に工場を建設することによって、安価に物づくりができるようになってきました。現在は中国やインド、ブラジル、ロシアといったBRICSをはじめ、旧東欧諸国、東南アジア諸国等にも先進国の工場が次々と進出しています。そして、更に安価な労働力を求めて、工場建設が行われるようになってきています。今後、この流れはますます加速され、国際的な製造コストは下がり続けていくことになります。更に、発展途上国が急速に力をつけてきており、経済の多極化が進展してきています。こういう状況下で、本年3月に東日本大震災が発生しました。このままでは日本の国際競争力は更に低下することになります。まさに、今、日本は正念場を迎えています。お互いの足を引っ張るような内輪もめをしている場合ではありません。国民一人ひとりが日本のおかれている現実をしっかりと見つめていかなければならないと思っています。