超高齢化社会を乗り切る
本日(19日)は敬老の日ですが、65歳以上の老人が2980万人と過去最高になり、人口に占める割合は23.3%になりました。人口構成を表す言葉に、「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」というものがありますが、高齢者(65歳以上)の人口が総人口に占める割合が7%以上の社会を高齢化社会(aging society)、14%以上になると高齢社会(aged society)、21%以上に達すると超高齢社会(super-aged society)と呼ばれています。
日本は平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードという三点において、世界一の高齢化が進展している国です。つまり、出生数が減る一方で、平均寿命が延びて高齢者が増えているからです。
『高齢社会白書』の「世界の高齢化率の推移」の中には〝欧米諸国は50~100年間で高齢化社会から高齢社会へと移行したのに対し、日本では1970年(7.1%)から1995年(14.5%)と25年間で高齢社会に移行し、さらに2007年(21.5%)には高齢者が21%を超える超高齢社会となった。〟ことが取り上げられています。因みにこの高齢化社会から高齢社会に移行するまでの年数を見ると、フランス115年、スウェーデン85年、ドイツ40年、イギリス47年に対して、日本はわずか24年です。そして、これから第1次ベビーブームの(昭和22 - 24年)生まれの人達が高齢者の仲間入りをする15年には3000万人を超えることになります。
日本では現在、5人に1人が高齢者、9人に1人が75歳以上という「本格的な高齢社会」になっており、このままの状況が続くと、2055年には高齢化率は40%になると予想されています。このように現在日本の高齢化は急速に進展しており、これに伴って年金、医療、介護等社会保障給付が増大してきており、国民所得に占める社会保障費の比率は実に3割を超えています。これは欧州における高福祉国家に匹敵する数字ですが、国民負担率は低水準にとどまっています。そして、このままでは自然増が発生することになり、国債の発行で財源不足を穴埋めすることは不可能になります。日本の年金や医療等の制度のベースは平均寿命が50歳台で人口が増加するという時代に構築されたものですが、これから人口が減少する局面においては財政面で大きな負担になっており、制度の再設計が不可欠な状況になっているのです。これらの現状を正しく理解することにより、後の世代にツケをまわすことのないようにしていかなければならないと思っています。