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釜石の奇跡~防災教育の成果

P1090232.jpg 釜石市.png
 
 昨日の避難訓練においては、岩手県釜石市の鵜住居(うのすまい)小学校と釜石東中学校の避難の様子を話しました。
  釜石市はかつて新日鉄釜石製鉄所があり、最盛期には9万人を超える人口を有していましたが、現在は人口が減少し4万人を切っています。今回の大震災では震度5強の地震のあと、釜石市の港には10メートルに及ぶ津波が押し寄せました。このため、釜石湾の入り口に設置されていた強固な造りという点では世界有数と言われていた湾口防波堤が破壊され、 津波は家などの住居を次々と壊し、人々を呑み込み、死者・行方不明は1000人を超えることになりました。しかし、このような状況にもかかわらず、小学生1927人、中学生999人は懸命に避難し、ほぼ全員が無事に生き延びたのです。病気により学校を休んでいた子など5人が亡くなりましたが、生存率は99.8%に達し釜石の奇跡』と呼ばれています。
  釜石市ではこれまで防災・危機管理アドバイザーの支援を受けて、各地域の津波浸水状況、避難経路などを想定したハザードマップを用い、児童・生徒に登校、下校などの生活時間帯に合わせた避難計画を立てさせてきました。この中で、「大きな地震があれば、直後に津波が来ることを自らの意思で考え、想定に囚われることなく、率先して避難すること」を小中学生らに徹底して訴えてきたのです。
  鵜住居小学校(361人)と釜石東中学校(222人)は、隣接していますが、地震の後、中学生が校舎から飛び出しました。そして、小学生の手を引きながら指定されていた避難所に向かいました。しかし、この避難所の崖が崩れ、川の水が引いていくのを見て、主体的な意思で更に遠くの高台に避難したのです。そして、後ろを振り返ると避難所は跡形もなく津波に呑み込まれていたとのことです。これは「想定を信じてはいけない」「状況下において最善をつくす」「多くの人の命を守るには率先避難する」といったことの大切さを我々に教えてくれています。
  早速、本校の生徒達の通学地域のハザードマップを入手して実態を確認したいと思っています。