« 高等学校全校朝礼 ~インドネシアにおけるポカリスエット販売 | メイン | 兵庫県私立学校事務研究会研修会の開催 »

タイの大洪水のもたらす影響

H23.10.17_2.jpg
  今年は東日本大震災による津波や台風の豪雨によって、日本国内でも大きな被害が出ましたが、世界でも局所的に大きな水害が相次いで発生しています。
  とりわけ現在、タイで発生している50年に1度と言われる記録的な大洪水は深刻な事態を招いています。これまで、カントリーリスクが小さいということで、日本企業も自動車や電機を中心に積極的にタイに進出してきました。その結果、現在タイは東南アジア最大の生産拠点であると同時に欧米や中東など世界への輸出拠点になっています。今回は多くの日本企業が工場を構える中部アユタヤの工業団地だけでなく、首都バンコクでも浸水被害が出始めでおり、既に約400社の工場が被災しました。この中には完成品だけではなく部品メーカーも多数含まれているため、部品の供給が止まることによって、直接洪水被害がなかったタイ国内や周辺諸国のベトナムやマレーシア、シンガポール、ひいては日本にある工場までが操業停止や減産を余儀なくされることになっています。これは、3月に起きた「東日本大震災と同じ」サプライ・チェーン(部品供給網)の寸断と同じ状況です。
  特に、深刻なのは自動車メーカーで日系の8社はすべて操業停止に追い込まれています。これまで各社は「超円高や米国や中国での競争激化といった逆風が続く中で、歴史的に日系メーカーが強みを発揮できる」ということで、東南アジア事業を強化してきました。この戦略の一環としてタイを完成車、関連部品の生産、輸出拠点と位置づけてきており、タイは「アジアのデトロイト」と呼ばれるようになってきていたのです。
  また、キャノン・ニコン・ソニー・日本電産・日東電工・ミネベア等の電機や部品メーカーにとっても年末商戦を目前に控え、デジタルカメラ、インクジェットプリンター、スマートホーン、パソコン等の生産に大きな影響が出ることになります。そして、洪水被害が長引けば日本企業の経営に非常に大きな打撃を与えるのは避けられません。また、復旧が長期化すれば代替生産や部品緊急輸入といった対応だけではなく、事業戦略自体の見直しが必要になってきます。まさに、個々の企業にとっても正念場を迎えていますが、企業だけではなく日本政府としての強力な支援も必要ではないかと思っています。