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徹底した基礎づくり

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  先日紹介した小河勝氏とは常に教育の課題について意見交換していますが、実に多くの学ぶべきことがあります。同氏によると、〝昭和50年の前半に教師になって赴任した学校は、校内に散乱するガラスの破片、たばこの吸い殻、便器にねじ込まれた空き缶等驚くべき状態であった。最初のうちは勉強ができないことと荒れることが、自分の中で深く結びついてはいなかった。
きっかけは米国の社会心理学者、エーリヒ・フロムの著書で読んだ「無力感の中で永遠に人間は生き続けることはできない」「彼らはやがて破壊を求めだす」という言葉だった。荒れている生徒は無力感の渦の中でおぼれ続けていたということに気づき、すぐさま自前のアンケートを行なった。すると授業の理解度と未来への意欲等の関係は見事に比例することが分かった。
  後に赴任した中学校で、同じ学年を受け持つ教員たちと協力し、計算や文章トレーニングを毎日繰り返す取り組みに挑戦したところ、学年が上がっていくごとに子ども達が落ち着いていくことになった。 ところが、すべての学校でこのような取り組みが実現したわけではない。中学では教科の壁があり、『みんなで数学や国語を教えていこう』というのは受け入れられにくい。また「足し引き掛け算が中学生に教える内容か」という反発もあった。
しかし、この基礎的な部分の訓練をしないことには中学の授業は成り立たない。大切なのはまず基礎を徹底してやらせることである。〟
 
  学力も建物と同じで土台がしっかりしていないと上に積み上げていくことはできません。本校では年々学力が向上してきていますが、個々の学力差は生じてきています。先生方は補習等で懸命に指導を続けていますが、基礎的な力が不足しているのは事実です。新学習要領で教える内容が極端に増える中で、小学校・中学校の基礎学力の実態をキッチリ分析し、どこでつまづきが生じているのか把握し、徹底した基礎づくり対策を講じていくことが大切であると感じています。