エルピーダメモリの破綻
この度、日本唯一のDRAM専業メーカーで、世界第3位のエルピーダメモリが会社更生法の適用を東京地裁に申請して倒産することになりました。
負債総額は4480億円となり、国内の製造業の倒産では過去最大規模になります。経営が悪化した原因は、一口で言うとサムソン電子や台湾メーカー等との厳しい価格競争に負けたということですが、さまざまな理由をあげると、次のようなことになります。これらの海外メーカーは大規模投資によりDRAMのコストを下げることを達成したが、エルピーダメモリは十分なコストダウンができなかった。また、円高とウォン安の影響で、輸出の採算が悪化した。更にDRAMを搭載するパソコンや家電製品が売れなくなり、DRAMの価格が急落した。等です。
このDRAM事業は20世紀末頃には花形産業として世界に名を馳せましたが、国際競争力が激化し、1999年にNECと日立製作所がDRAM事業を統合して同社を発足させ、その後2003年には三菱電機の事業も吸収することになりました。また2009年 6 月には、世界においてもトップクラスのDRAM の開発、設計技術を有していることが評価され、経済産業省より「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づく事業再構築計画の認定を受けました。
半導体は「産業のコメ」と言われており、日本におけるモノづくりを支えてきた基幹産業です。これまでオールジャパン体制で事業展開をはかってきたメーカーの倒産は、日本にとっては大きな痛手になるのは間違いありません。ソニー、パナソニック、シャープをはじめ日本のエレクトロニクス業界は非常に厳しい状況になっていますが、知恵を結集して、この難局を乗り切って欲しいと思っています。