卒業式後記~厳粛な卒業式
本校の卒業式に参列された方は、異口同音に感動溢れる素晴らしい卒業式であったという感想を述べられます。本学園には幼稚園から小学校、中学・高校がありますが、いずれの入学式、卒業式においても国旗と学園旗を掲揚し、ピアノ伴奏による君が代斉唱が行なわれます。私は卒業式は学校での最後の授業であり、入学式は最初の授業であると思っています。特に、これらの学校行事については、厳粛で暖かみのある思い出に残るものでなければなりません。そのため、本校においても予行を行ない、担当を決めて全員で準備を行なっていますが、すべて教頭にお願いして私が陣頭指揮することはありません。
しかし、公立高校の場合には、校長は張り詰めた気持ちで予行にも立ち会っているケースが多いのではないかと思います。私が民間企業から学校に赴任して驚いたのは、学校現場において国旗の掲揚と国歌の君が代斉唱が学校のマネジメントの大きな課題になっているということでした。そのためいかに入学式や卒業式を混乱なく実施するかということについて色々と指導を受けました。実際に学校に赴任すると、事前に聞かされていたとおり、入学式の実施方法について一部の教員から意見が出されましたが、私は原理原則に従って、国旗を掲揚し全員起立の上で君が代斉唱するということを徹底しました。しかし、当時は多くの学校において、これらが遵守されず校長が頭を痛めていたようです。私も大阪府立高校の校長在任中は毎年の卒業式や入学式の時期には、気を抜けない状態が続いていたことを思い出します。その後、大阪府ではこの問題については改善が進んだということでしたが、まだ完全に徹底がはかられていない学校があるため、ついに昨年条例を制定することになりました。それでも先日卒業式を実施した府立学校107校のうち、式場内で国歌斉唱時に起立しなかった教職員数は17校、20人にのぼっていることを聞いて愕然としました。卒業式は一体誰のためにあるのでしょうか。教員が自分の主義、主張を表に出す場ではないと思います。卒業式は生徒のためにあるということをしっかりと胸に刻み込んでおかなければなりません。
私はこれまで何度も海外に行っていますが、どの国でもいたるところに国旗は掲揚されています。また、海外からの来賓を迎える際にも必ず、歓迎の意を込めてその国の国旗は掲揚されます。スポーツの国際試合においても必ずそれぞれの国の国歌が流されます。これから国際化がますます進む中で、子ども達は世界の多くの国の人達と共に仕事をしたり、生活することになります。これからは国際感覚を持ち日本という国に誇りを持って行動していける人材を育成していくことが大切であると思っています。