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6年間を振り返って②

6.良循環型経営の実現を目指した具体的な取り組み 
  学校経営にあたっては、入口(質・量両面にわたる生徒の確保)、校内(教育内容の充実と教員の資質向上、教育環境の整備)、出口(きめ細かい進路の実現)の3つの切り口を固めることにより相乗効果を発揮させていくことが重要である。このうちの1つが崩れると、「負のスパイラル」に陥ってしまうため、これらを連携させながら「良循環型経営」の実現を目指すことにした。
このように、本校ではコース制の導入を柱として、常に課題を明確にしながらさまざまな取り組みを実施してきたが、以下「入口を固める」「校内を固める」「出口を固める」という順で取り上げていくことにする。%E8%89%AF%E5%BE%AA%E7%92%B0%E5%9E%8B.JPG

7.入口を固める
7.1 積極的な入試・広報活動の推進
  私学にとって、生徒の確保は最重要課題である。いくらカリキュラムの見直しや授業レベルの向上等教育内容の充実や教育環境の整備、優秀な教職員の確保をはかろうとしても、生徒が集まらなくては安定した学校経営を推進することはできない。そのため、コース制の導入を機に〝雲雀丘学園中学・高等学校は大きく変わる〟というイメージを全面的に打ち出すこととし、学校説明会や校外での入試相談会を通じて本校の目指す新しい学校づくりや、育成すべき生徒像について徹底的にPRしていくことにした。
また、オープンスクールや学校見学の随時受け入れ、塾長対象説明会、中学教員対象説明会、全教員による中学訪問、広報専任者の任命等広報体制の強化をはかった。本年度は実に校内・校外合わせて約90回にわたる入試説明会・相談会を実施した。

7.2 ホームページによる情報発信
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新しい学校づくりを進めるにあたって、ホームページを全面的に改定し、学校における教育活動の内容をきめ細かくタイムリーにお知らせすることを目指して、「全員参加によるホームページづくり」を行っている。この結果、学年・分掌・部活動のきめ細かい情報発信が行われ、日々更新がはかられてきている。また、定期的にアクセス件数を把握するようにしているが、この数は年々増加してきており、オープンスクールの申し込みもホームページを通じて行っている。

7.3 入学志願者の状況
  高校にコース制を導入して以降、中学・高校共志願者は年々増加してきている。この結果、募集定員の確保と共に入学者の偏差値も上昇してきている。厳しい経営環境下にあって、本年度は中学792名、高校1036名と共に過去最高の志願者ということになった。これに伴い、24年度の入学者も中学221名、高校301名と過去最高になる見込みである。また、偏差値60を超える生徒が増加してきており、これから大いに期待できる状況になってきている。
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高校合格者数の推移.jpg
8.校内を固める
8.1 人間教育の基本である凡事徹底
  多くの学校が大学進学実績を重要視している中で、人間教育を最初に謳っている学校は珍しいと思うが、〝社会で役立つ人材は、単なる知識偏重型ではなく人間力を併せ持つ人材である〟という考え方に立ち、教育方針の第一に「人間教育の充実」を掲げることにした。人間教育というと何か難しい特別のことを考えがちだが、人間力を高めるための特効薬もマニュアルもない。人間として当然やらなければならない当たり前のことや簡単なことをやり続ける、言いかえると「凡事徹底」が大切であり、簡単な事が完全にできるようになって、初めて次の難しいステップに進むことができる。そのため、「明るい挨拶」「きっちりした服装」「さわやかなマナーとルールの遵守」を基本に取り組むこととし、早朝の登校指導をはじめ全教員が生徒指導にあたることにした。また、制服を美しく着こなすための『服育』や「携帯・ブログ講座」「薬物防止講座」を実施している。このような取り組みによって、遅刻や問題行動が大幅に減少してきており、これが学力向上にも繋がってきている。
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tks.gif 遅刻者グラフ.jpg

8.2 授業時間(量)の増大と補習体制の充実
  コース制の導入によりカリキュラムを全面的に見直すと共に、「土曜日授業の実施」「長期休業期間の短縮」「予備校の先生によるパワーアップ・ゼミ(選抜特進・一貫選抜)、ブラシュ・アップゼミの開講」「長期休業中における補習や勉強合宿の実施」「早朝講習」等授業時間の増大をはかることにした。また、6年間(3年間)の『サクセスプラン』に基づき、計画的な学力向上、進路指導体制を充実させている。また、「自学自習コーナー」や随時教員に質問できる「交流スペース」を設置する等の学習環境づくりにも注力している。
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        《勉強合宿》                  《夏期講習》
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    《交流スペースでの質問》         《大学推薦入試指導》

8.3 教職員の資質向上
  より良い学校づくりには、一人ひとりの教職員が同じ方向を目指して行動していることが大切である。そのためには学校全体の方針が分掌、学年、教科毎に具現化され、更に個人レベルにまで落とし込まれていなければならない。これを実現するために『目標チャレンジ制度』の充実をはかることにしている。また、教師にとって授業は命であるという考え方に立って、〝より良い授業を目指す〟〝授業を磨く〟を合言葉に学校全体としてのさまざまな取り組みを行なっている。具体的な取り組みとしては、年2回の「生徒全員によるすべての授業に対するアンケート」や「相互授業参観」「研究授業」を実施している。この授業アンケートは単に教員や生徒の授業態度を評価するものではなく、教員と生徒の双方が前向きな姿勢で授業の改善を行っていこうというものである。また、模擬試験や定期考査の結果を分析することにより、課題を抽出し教科会を主体とした授業改善を行っている。
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      《模試分析会》               《教科による検討会》
8.4 国際科のDNAの引き継ぎ
  グローバル化への対応をはかるために、新しく導入するすべてのコースの中に、これまで培ってきた国際科のノウハウを取り入れることにし、「カナダ研修」「ニュージーランド比較文化研修」「海外留学」「海外からの留学生の受け入れ」「ネイティブ・スピーカーによる生きた英会話の授業」「JICAとの交流」等については、基本的に引き継ぐことにした。
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      《カナダ研修》               《ニュージーランド研修》
8.5 学業と部活動の両立
  昔から『文武両道』という言葉があるが、部活動を通じて「しっかりと挨拶する」「服装を整える」「ルールやマナーを守る」「チームワークの大切さを体得する」「忍耐する」という力を身につけることは将来社会に出た時に大いに役立つものである。本校では詰め込み式の知識偏重型の教育や将来の職業に結びつくプロフェッショナルを育てるような部活動を目指しているわけではない。あくまで学業と部活動の両立をはかることを薦めており、現在、クラブ加入率は7割を超え、全国大会に出場するクラブも出てきている。また、難関大学合格者のほとんどが積極的に何らかの部活動を行っている。
ギターマンドリン.jpg 剣道部.jpg            《ギター・マンドリン部》                《剣道部》
8.6 教育環境の整備
  教育効果を高めるためには、施設や設備環境を整えることが大切である。そのために、いち早く耐震補強を実施すると共に創立60周年にあたる2010年に、高校校舎を新築した。この校舎は環境教育の教材としての役割も果たしており、太陽光パネル,雨水を利用した屋上緑化、LED照明等を採用している。また、昨年、生徒たちの手で校庭に天然芝を植え付け、芝刈りも生徒たちが行っている。更に新校舎の教室にはプロジェクターや電子黒板等のIT機器を設置し、これらを活用した新たな授業展開をはかってきており、素晴らしい教育環境が整ってきている。
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     《生徒による芝刈り》       《保護者による芝生クリーン作戦》
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     《太陽光パネル》               《屋上緑化》
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