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ふと授業に引き込まれて

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 いつものように、校内を巡回しながら、ふと授業の様子を見に入ったところ、中学3年生の授業で、菊池寛の小説「形」の授業が行われていました。ご存じの方も多いと思いますが、あらすじは、槍の名手中村は、戦場へ出かけるときは決まって「猩々緋(しょうじょうひ)の服折を着て、唐冠纓金(えいきん)の兜」という派手な装束でむかいます。槍の腕前はもちろんの事、対峙した相手は、その装束、形を見ただけで、おそれをなして負けてしまいます。ある時、主君の息子の初陣に自分の装束を貸し、「その日に限って、黒皮縅(おどし)の冑を着て、南蛮鉄の兜をかぶっていた」ので、いくら、いつものように口上を述べても、相手は怯まず、名もない雑兵に簡単に負けてしまうという話です。
 この小説を読んだのは、数十年以上も前のことですが、私自身にも強烈な印象として残っています。当時、高校時代のことですが、どうしても勝てない学校があって、その学校の校章を刺繍した稽古着・袴、独特の色合いの防具、「形」だけではないかもしれませんが、その「形」に負けていたという経験があったからです。
 「形」に負けてしまう人間、「形」の力で自分の本当の力を過信してしまう人間、さあ、この授業を通じて、生徒たちはどんな「形」を思い浮かべてくれることでしょう。権威、伝統、評判など目に見えない「形」もあるかもしれません。