デジタルは現実を正しく捉えられるか
私たちの生活しているところでは、時間、距離や空間など連続した値を持ったものが多くあります。昔は、連続した値を持った情報を解析するのは非常に難しいことでした。そのため、ある連続した情報を、非連続の値に分割するデジタル化を行いました。そうすることにより、近似的な計算結果を比較的容易に算出することが可能になりました。それ故、数値解析をはじめとして様々な分野においてデジタル化は用いられてきました。そこに、自然界のいろいろな対象を連続の世界そのままで考える手法が確立されました。それが、微積分です。人類が、連続の世界をそのまま考えられるようになった数百年後にコンピュータが発明されました。折角、デジタルからアナログ的思考になったのに、まだデジタルへの逆戻りです。しかも、非常に強力な機械が後ろ盾となってです。音や電波のように元々が連続的な情報(アナログ)も、その周波数をデジタル化することにより、デジタルな数値としてコンピュータ上で処理することが可能となりました。CDが出だした頃、レコードの方が本物の音に近いとして、マニアは敬遠しました。しかし今は、レコードの姿は消えてしまいました。カメラも銀塩フィルムからデジタルカメラへと。この流れは永遠に続くのでしょうか。
デジタル化され非連続となったデジタルな値(この時点で現実とは違いが出ている)を用いて算出された計算結果は、元の情報に対し、わずかな誤差が生じると言う宿命を背負っています。アナログ世界をアナログのまま捉えて計算するコンピュータの出現があるのでしょうか。はたまた、アナログとデジタルを統一的に捉える新しい考え方が登場するのでしょうか。