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宮大工に学ぶ

 昔読んだ本で、心に残るものがありますので紹介します。
 「木のくせはまず、ねじれと「反り」です。同じ種類の木でも、山の頂上、中腹、谷、斜面の角度、北および西側、南および東側、風あたりの強弱、植生の疎密などで、反り、硬さ、軟らかさはもとより、材質はさまざまです。右に反る木に、おなじ力で左に反る木を組み合わせれば、左右に働く力が釣り合って、塔がねじれたり、傾くことはありません。これが木組みの基本です。」
「力のかかるところや軸部材には、ひねくれねじれて、節のある木を持って来ます。そういう木は、山の頂上の南あるいは東側の、強い風当たりのところに生えたものです。北側、西側、谷筋に育った木は、素直でおとなしく、材質がやわらかです。」「力のかかる軸部材には向かないが造作材になります。」
宮大工の口伝として
 「塔組は、木組み。木組みは、木のくせ組。木のくせ組は、人組。人組は、人の心組み。」というのがあるそうです。「くせ木」を組む前に、「くせ木」以上の「人の心」をつかんで、しっかりと共同作業ができるようにしておかなければならないからです。」西岡常一・小原二郎著「法隆寺を支えた木」より
 木と人、何か似通ったところを感じます。木も人もそれぞれ個性があり、それをしっかり理解して個性を生かすことが大切だと教えています。個性のない、単一の規格品では弱いということです。
 塔組も行き着くところは、人の心組みだそうです。クラス経営、学年経営や学校経営にも通じるものがあります。人の心組みができる立派な宮大工になりたいものです。