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無限は有限より大きいか?

 地点Aから地点Bへ移動するためには、まずAーB間の中間地点(B1とする)に到達しなければならない。さらにAからB1へ移動するためには、AーB1間の中間地点(B2とする)に到達しなければならない。以下、同様に考えると、地点Aから地点Bへ移動するには無限の点を通過しなければならない。ということは、どんなに短い距離としても、そこに移動するには時間がかかります。無限に点があるので、無限の時間が必要になります。よって、有限の時間で地点Aから地点Bへ移動することは不可能です。
 おなじく、こんな話もあります。足の早いアキレスと亀がハンディをつけて競争するという話です。亀はアキレスより前からゴールに向かってスタートします。すると、アキレスが亀のスタート地点に着くまでには時間がかかります。その時間があれば亀は前へ進みます。アキレスがそこに到着するにはまた時間がかかります。以下、同様に考えると亀に追いつくまでに無限の時間がかかり、有限の時間で亀に追いつくのは不可能だということです。「アキレスと亀」の有名な話です。
 いずれもゼノンのパラドックス(逆説)です。二つの話はいずれも間違っていません。正しい話です。ただ結論がおかしいだけです。どこがおかしいのでしょうか考えてみて下さい。
 無限と有限どちらが大きいか。こう問われれば無限ですよね。ロンドンオリンピック、スタートの悪いボルト選手は出遅れますが、後半見事に追い越し金メダルです。「事実は小説よりも奇なり」(バイロン)。