« 塞翁が馬 | メイン | トロイアの木馬 »

ノーベル賞、ガードン博士の場合

 ノーベル賞で新聞記事がにぎやかです。「挫折を乗り越えて」受賞された山中教授との報道がありましたが、同じ医学生理学賞を受賞された英ケンブリッジ大学のガードン名誉教授の15歳当時の通知表が話題になっています。8日ロイターによりますと、担当教師は、「リポートには50点中2点というものもあった」、「科学者になるという考えを彼は持っていると思う。これは全くばかげている」と指摘。さらに、「彼にとっても、指導する必要がある側にとっても全く時間の無駄だ」と、若き日の博士を酷評しているというものです。今もその通知表を額に入れて研究所に飾っておられるそうです。今も持っている理由を聞かれ、「例えば、実験がうまく行かないなどの問題が起きた時、結局自分はこの仕事に向いておらず、先生が多分正しかったと思い出すのは良いことだ」と博士は語っておられます。
 ガードン博士は生物学の成績が250人中最下位だったこともあるそうです。一度科学から離れられたそうですが、大学でかつての夢に再び取り組み努力を続けられ今回の受賞に結びついたということになります。「夢の実現のために地道な努力」は山中教授と共通するものです。
 通知表に書かれた内容を見た時に、同じ教師として考えさせられるものがありました。この指導にそって違う道に進まれていたら、一時そうされたようですが、ノーベル賞はなかったことになります。教師の子どもを観る目、可能性を見極めることの重要性を痛感させられた報道でした。