中学・高校受験を考えるにあたって・・・最後に
中学進学を考える時に、どのような私立中学を考えるかということもありますが、私立か公立かという選択もあります。私立中学には公立校にはない創立の精神があるのが特徴です。それぞれの学校の建学の理念ですから、重要な選択の指標です。また、最近は、公立校でも一貫校ができていますが、多くの場合、中高6年のスパンで生徒の育成をめざしているところが私立校の特徴でもあります。12歳から18歳までを3年毎に受験で区切られるのと、6年間で考えるのとでは大きな違いが出てきます。
生徒の成長は一直線ではなく紆余曲折を経てなされていくものです。取り返しが効くといいますか、失敗や挫折を乗り越えさせるための十分な期間が欲しいのです。「僕は自分で『理科ができる』と思い込んでいたけど、実際の成績は全然良くなかった。それでも当時は、高校3年生ぐらいで猛勉強すれば、みんなに追いつくことができたんです。たぶん、今だったら完全に『落ちこぼれ』のレッテルを貼られ、『お前はダメなやつだ』と周りから言われ続けてダメになっていたでしょうね。その意味で、僕は時代に救われたと思っています」(「大発見」の思考法)。とノーベル賞を受賞された益川先生はiPS細胞の山中先生との対談で語っておられます。
本校でも、中学3年生の頃には偏差値50台の成績の生徒が、高校へ進学してから目標を持ち、努力することにより大阪大学や京都大学に現役で合格したというケースがあります。
自分の興味のあることにしっかり取り組ませ、また、いろんなことにトライする余裕を考えた時には、ある程度の期間が必要です。もちろん、過度の競争にさらされる6年間は論外です。創立の精神である「孝道」をベースに、「人間教育の充実」と「学力の向上」をめざし、受験に特化した勉強だけはなく「本物の学び」を追求していきたい、と本校は考えています。