「中だるみ」の問題
私立中高一貫校の共通の弱点として「中だるみ」の問題が取上げられます。中学・高校と6年間ありますから、どうしても中学2年生から3年生あたりにかけて家庭学習の時間も少なくなり成績も下降気味になるという現象です。ただ、そこから高校3年生に向けてまた再び上昇していくのですが、この下降するところをなんとかできないだろうかという問題提起だともいえます。
本校においても、この問題について成績データなどを定点観測し分析を行っています。個々の学年や年度の特徴だけに目がいかないように共通の模擬テストなどで学年比較を行ったりもしています。全体の概略を申し上げますと、中学入学後一年間で成績下位層は増えず、上位層が増加します。入学直後と中学2年生の全国偏差値から比較した結果です。そして、「中だるみ」といわれる2年生から3年生にかけての一年間ですが、どの年度も全て上昇しているとはいえませんが、下降はしていない、全体の傾向としては現状維持からやや上向きといえます。入学直後と中学3年生の4月の比較でいいますと上昇しているといえます。「中だるみ」という現象とは少し違う傾向になっています。この原因は中学から高校へ進学する時に課題や目標が明確である本校のコース制の特徴が影響していると考えています。
学力面に限ったことではありませんが、成長の過程は一直線ではありません。個々のテストで上り下がりがあるのはよくあることです。しかし全体としての傾向がどうなっているのかを見誤らないようにしなければなりません。適切な課題を提起し、やる気を引き出せば必ず上昇傾向になるのですから。