「芹乃栄」(せり すなわち さかう)
「せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ」、春の七草です。きょう1月7日は、七草粥の日です。春の七草を入れてお粥を作り、正月の祝膳や祝酒で弱った胃を休め、一年間の無病息災を願って食べる日本の行事食です。ここに出てくる「芹」(せり)にまつわる話として、「芹乃栄」(せり すなわち さかう)があります。芹が良く生育するという意味です。
気候を辞書でひけば「〔『候』は五日、『気』は三候すなわち十五日の意〕ある土地の、長期間にわたる気温・晴雨などの状態」とあります。「気」は、二十四節気の「気」です。また、節気をさらに、3つに分けた約5日を、「初候・次候・末候」という「候」で表します。ですから、節気は三候すなわち十五日になるのです。二十四節気の各節気に三候ありますから、「七十二候」になるわけです。そのなかに「小寒」という節気の初候、「芹乃栄」があります。1月5日から9日頃までの時期をいいますので、セリは旬の食材ということになります。
「春苦味 夏は酢の物 秋辛味 冬は油と合点して食え」などという言葉もあります。冬の間、土中で眠っていた種が次々と芽を出す春には「にがみを盛れ」と言われてきました。これは、芽吹く時期には、にがみのあるものを食べ、冬の間に体内にたまった老廃物を出して、ビタミンやミネラルを摂り入れようという知恵なのです。「七十二候」という旧暦で季節の変化を示すあまり馴染みのない言葉も、最近スマートフォン向けアプリによって若者の間にも関心が広がっているようです。忘れられかけている先人の知恵、なんとかして受け継いでいきたいものです。