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勉強するには食前が良い

 東京都医学総合研究所の平野恭敬主任研究員や齊藤実参事研究員、首都大学東京などの研究グループは、空腹状態になると記憶力がアップする仕組みを、ヒトの記憶メカニズムと共通性をもつショウジョウバエを使った実験で明らかにし、25日の米科学誌「サイエンス」に発表しました。長期記憶のメカニズムはショウジョウバエから哺乳類まで共通しているとのことですから、「勉強するには食前がよい」と言われていることには科学的根拠があるということになります。
 家庭学習が大切なことは当然のことですが、この研究結果は夕食前の時間の過ごし方にヒントを与えてくれていると思います。毎日クラブ活動を終えて帰宅するとすぐに夕食になると思いますが、その前の1時間、それが無理ならせめて30分でも学習にあてる工夫をしてみてはどうかということです。もちろんそれだけで良いとはいえません。食後、少し休憩したあと学習を再開する必要はあります。このスタイルが定着すれば、時間の有効活用と学習の効率化をはかることができます。ただ、過度の空腹で飢餓状態に陥ると、食べ物の「報酬記憶」だけが長期記憶になり、他の記憶は長期記憶にならないので、「空腹で記憶力をあげる時には注意が必要だ」とも指摘しています。しかし、飢餓状態になるまで食前に学習することはないと思いますので、トライしてみる価値はあると思います。
 学習習慣の確立と生活のリズムをうまくミックスさせる工夫など、生活を意図的、能動的にコントロール出来る人が学習の成果も上げるということになります。