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厳しい指導とは

 学習やスポーツ、習い事において基礎・基本を定着させることはその後の上達に欠かせないものです。また、武道においては「守・破・離(しゅ・は・り)」という言葉があります。学びや修行の第一段階は、師の教えを守る、無条件で言われた通り実践する「守」、次の段階として師の教えをしっかり身につけ、自分の特性にあった自らの境地を見つける「破」、最終段階としてそれらの段階を通過し、何者にもとらわれない境地を切り拓く「離」へと進むという意味のものです。これらは、学ぶ者のとるべき姿勢や態度を表しています。
 反対に、指導する側、教える者の立場から見た場合はどうなるでしょう。教えてやるのだから、無条件で言う通りにしなさい、とか、威圧的、強圧的に学びを強要するのが真の指導者の立場ではありません。自ら教えを請う為に師の門を叩く「習い事」ならいざ知らず、学校教育の場には馴染みません。「生徒の心に火を点ずる」のが教師の仕事とする本校の初代板倉校長の言葉があります。生徒の中にあるいろんな可能性の中から「これを追求してみたい」、「この分野で頑張ってみたい」というものを見いださせて取り組ませる、簡単な言葉で言うと「学びのスイッチ」を入れさせる、のが教師の仕事ということになります。粘り強く根気のいる、本当の意味での「厳しい指導」です。「過ち」を犯した時の指導も同様です。恐怖心を抱かせ、強圧的に反省させることが「厳しい指導」ではありません。「自分の犯した過ちを素直に認め、そうした自分を変えなければならない」と自覚し、自己変革させることが「真の厳しい指導」である、と私は考えています。