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人間たらしめるのにスポーツが果たした役割

 今年のプロ野球界に高校時代から160km/hのボールを投げる選手が入団したとして話題を呼んでいます。物を投げる動作についての興味深い研究が、きょう付のネイチャー誌に、米国ハーバード大学とジョージ・ワシントン大学の研究グループが発表しています。それによりますと、物を上手に投げるというのは、ヒトにある独自の能力で二足歩行に関係があるとダーウィンは推測していたそうです。チンパンジーなども物を投げるそうですが、速度や正確さは人間の小さい子どもに勝てないそうです。ちなみに、チンパンジーの握力は200kg以上といわれ、人間はとてもかないません。これだけの怪力の持ち主でもボールを投げると30km/h程だといいます。それに比べて、人間がこれほど速く、しかも正確に物を投げられるのは、どうしてなのかということがわかったというのです。
 大学野球で活躍する選手のフォームを解析することにより、人間は「肩の弾性エネルギーを弩(いしゆみ)に似た形で保存し解放することが可能になっている」ことを解明しました。この特徴はヒト族の化石記録にも保存されているそうです。約190万年前にアフリカに出現した原人に、すでにこの様な特徴がみられるということです。原人は大型動物を狩猟していたことが知られていますが、物を投げる能力が狩猟で重要な役割を果たしただろう、と研究チームは考えているようです。
 二足歩行、道具の製作・使用や火の使用は人間が人間たらしめるものに大きな影響を与えました。「走る、投げる、跳ぶ」などスポーツの原点もこのことがいえそうです。