« 林間学舎 | メイン | 林間学舎終わる »

「桐始結花(きり はじめて はなをむすぶ)」

       五七の桐
500%E5%86%86%E7%8E%89.jpg いよいよ一年で一番暑い頃といわれる「大暑」です。二十四節気の折り返し、12番目にあたります。これが終れば「立秋」です。七十二候も第34候、桐始結花(きり はじめて はなをむすぶ)になります。桐の実が生り始めるころ、季節は晩夏です。
 「桐の花、紫に咲きたるは、なほをかしきを、葉のひろごりざまうたてあれども、また、こと木どもとひとしう言ふべきにあらず」。清少納言の「枕の草子」第三十七段の一節です。紫色に咲いている桐の花は、やはり情趣のあるものだとか、唐の国では「ことごとしき名つきたる鳥(鳳凰)」が、選んでこの木に栖むといわれ格別な気持ちがするし、琴を作ったりもする非常にすばらしいものだ、と述べています。
 かつては女の子が産まれると庭に桐の木を植えたといわれていました。桐の木は成長が非常に早いので、女の子が嫁入りする時に、その木を切って箪笥や長持ちにして嫁入り道具として持たせてやるためだそうです。桐の木は軽くて丈夫なうえに、燃えにくいので、桐の箪笥は火事にあっても表面が焦げるだけで中の着物は大丈夫とか。水にも強く、湿気を含むと木が膨張して箪笥の引き出しなどが密閉され、中に湿気がいかないようにする優れものといわれています。下駄にも使われるなど生活に密着した良質の木材として重宝されてきました。しかし、年々安価な輸入材が多くなり、国内の桐生産者が立ち行かなくなり、手入れされずに放置され病気になったり枯れたりして国内材は減少しているそうです。手間隙をかけないと良いものが出来ないのは何事にも共通するようです。