「大雨時行(たいう ときどきに ふる)」
きょうは七十二候の第三十六候「大雨時行」です。二十四節気「大暑」の末候にあたります。これが終われば「立秋」、夏も終わりです。とはいえ、暑さはこれから本番を迎えます。この時期の雨は集中豪雨や夕立など、シトシト降る雨というより一気に降る大粒の雨のイメージが強いと思います。「大雨(たいう)」とはよく言ったものです。しかし、先日から山陰や北陸地方での驚異的な大雨は「大雨時行」といったものとは桁違いです。今までの日本の風景や風物詩とは違ったものです。温暖化など気候変動の影響かも知れません。
抜けるような青空に真っ白な湧きあがる入道雲、そして時ならぬ夕立、これが私の夏の原風景です。クーラーなど無く、団扇に扇風機、庭に打ち水で涼をとっていたものでした。風鈴の音も涼を演出してくれました。蝉も「シャン、シャン、シャン」といったいかにも気ぜわしい鳴き方ではなく、「ミーン、ミーン、ミーン」とのんびりしたものでした。入道雲も「坂東太郎(ばんどうたろう)」と風情のある名前で呼んでいた地域もあったようです。「坂東太郎」といえば、「筑紫(つくし)二郎」や「四国三郎」と同じく、利根川に筑後川や吉野川(四国)につけられた川の名前です。昔の夏は、ヒートアイランド現象による蒸し暑い現在の夏とは別物のような感じがします。
自然との共生、生活の中に取り込み折り合いをつけながら生きてゆくといったことは、昔の人の生き方に学ぶべき点が多いように思います。