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「鴻雁来(こうがんきたる)」

 「秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるがいと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず」。枕草子です。ここに出てくる「雁などの連ねたる」の雁(がん・かり)は渡り鳥として有名です。V字型に隊列を組んで北から飛来してきます。きょうは、第四十九候「鴻雁来(こうがんきたる)」です。
 私たちの小さい頃は、雁といえば枕草子より「赤城の山も今宵限り、・・・あゝ、雁(かり)が鳴いて南の空へ飛んで往(い)かあ」という国定忠治にでてくるセリフで覚えています。いずれにしても、越冬するために北から南へ渡り鳥が飛来してくる頃をあらわしています。
 越冬する準備といえば、新しい年を迎える準備ということになります。渡り鳥は餌も豊富な暖かい南の地に移動して準備をしますが、私たちは、場所を変えるというよりも成長するための準備ということになります。高校3年生は進路を切り拓くための準備、その他の学年は人間的成長を含めた進級の準備です。季節の移り変わりは、私たちの成長の進捗状況をはかる尺度になっています。これに後れをとることなく、取り組みや準備を行う必要があります。
 冬を南で過ごした雁は、新年度を迎え春には「鴻雁北(こうがんかえる)」と飛び立っていきます。どのような力を付け、成長して飛び立つかはこの時期の努力にかかっています。