AO入試などから見えくるもの
私立大学の入学者の約10%がAO入試を経由していました。国公立大学でも採用されているAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)とは、出願者自身の人物像を学校側の求める学生像(アドミッション・ポリシー)と照らし合わせて合否を決める入試方法で、1990年慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスが、他に先駆けて導入したものです。志望理由書や小論文、面接などで合否判定が行われますので、なぜその大学なのか、何をするためにその学部を選んだのかなど、明確な志望理由がポイントになります。私立大学では、AO入試は学力試験を課さないところが多く、推薦入試はAOより学力試験を課すところが少し多くなっています。入試の形態と大学生の基礎学力との相関は、学力試験を課す割合に関係しているいるといえます。ところが、入学後の学力の伸長の度合いが、国立大学入学者ではAOや推薦で入学したものの方が良い、とでています。これは、明確な志望動機を持って学力検査を経て入学しているからだ、と考えられます。
政府の教育再生実行会議は、大学入学者選抜について、従来のセンター試験に代えて「達成度テスト(発展レベル)」の導入と、各大学の個別の入学者選抜は「能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価・判定するものに転換する」ため、面接・論文なども取り入れた多様な入学者選抜への転換が必要としています。制度の検討も必要なことですが、生徒の進路を指導する立場からすると、いかなる制度であっても対策を駆使するだけにならず、進路指導の本来あるべき姿を追求することが大切だと思います。