大学卒業後の進路
進学率の推移をみますと、1980年代後半から始まるバブル景気の頃で進学率は20数%、バブル崩壊後の90年代に30%を越え、そして現在は50%を越えるところにまで来ています。高校3年生の2人に1人が大学に進学する時代になりました。戦後最低の少子化にもかかわらず、最高の大学生の数になっています。
大学卒業後の進路を文科省の学校基本調査でみますと、進学する者が10数%、正規の職員になっている者が63%、安定した仕事に就いていない者が20%を超えるということになっています。卒業後、大学院への進学者は理学部や工学部などの理系が多く、法学部や経済学部などの文系が少なくなっています。国立大学においては、理系は就職よりも進学する者が多いという傾向になっています。
大学卒業後、職に就いた者はどうなっているのでしょうか。厚労省の統計に新規学卒者の離職状況に関する資料があります。それによりますと、事業所の規模によって違いはありますが、大学卒業者の3割を超える者が3年以内に離職しています。日本の正社員雇用においての慣行といわれる終身雇用が崩壊していることを裏付けるデータのひとつになっています。
進学率が10%前後の頃と違って、「大学さえ出れば何とかなる」という時代ではなくなっています。大学進学が目標にならない時代ということは、自ずと「何のために大学へ行くのか」、自分の生き方や将来設計の中で大学進学がどういう意味を持つかを考えなければならないということになります。