「鱖魚群(さけのうお むらがる)」
「鱖魚群」と書いて、「さけのうおむらがる」といいます。鮭が群れをなして川を上っていく頃をいいます。「大雪」の末候です。「立春」から始まる二十四節気も「大雪」が終われば「冬至」、「小寒」、「大寒」を残すだけとなります。
「鱖」は音読みで「ケイ、ケツ」と読み、「鱖魚(ケツギョ)」は、中国大陸東部に生息する淡水魚で、スズキ目スズキ科に分類される魚のことです。鮭と同じように群れて泳ぐ魚だそうですが、「鮭(サケ)」は、サケ目サケ科で別の魚です。中国の暦が日本に入ってきたとき「鱖魚」の代わりに、「鮭」を充てたと考えられます。
サケが群れをなして川を上ってくる遡上は緯度によっても違いますが、9月頃に始まり1月頃まで続くとされています。海で3〜4年過ごして大きく成長したサケが生まれた川に産卵のために帰ってきます。間違わずに生まれた川に戻ってくる回帰性のシステムは、生まれた川の臭いでわかるという「臭覚回帰説」、太陽の位置などを目安に帰る「太陽コンパス説」、そのほかに「地磁気説」、「海流説」等が上げられていますが実際のところよくわからないようです。
数年後に海からやっとの思いで生まれた川に辿り着いてみると川が汚染されていたり、河川の改修で遡上できなかったり、産卵できる場所がなくなっていたりと、サケにとって人間は厄介な存在になっているかも知れません。しかし、サケにとって安心して遡上し産卵できるきれいな川は人間にとっても大切なものであることに変わりはないはずです。