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記憶の連結を調整する仕組み

 記憶に関係する興味深い研究を理化学研究所が発表しました。記憶の連結と分離を調節する新たな神経回路を発見したというものです。私たちは日常生活で様々な出来事に遭遇し、それを覚えます。その記憶には、「何が」、「どこで」、「いつ」という情報を含みます。それに必要な神経回路については知られています。ところが、「何が」、「どこで」の2つの情報がどのように脳の中に統合され、記憶されていくかは、比較的理解が進んでいますが、「いつ」という時間的情報が、「何が」や「どこで」という情報と、どのように脳の中で統合され、記憶されるのかについては、近年ようやく研究が進み始めたという状況だそうです。
 「いつ」と「何が」どのように統合するかの研究は以前に報告されています。例えば、何も知らない土地で電車を待っている時、突然音が鳴り、鳴り終わった20秒後に電車が到着するとした場合、経験によって、音が鳴って、その後しばらくすると電車が来るというように時間的に離れた2つの出来事を連結して記憶します。
 しかし、このように連結させて記憶する機能も適切に調節される必要があります。時間的に離れすぎている2つの出来事、もしくは、印象が非常に弱い出来事同士などは覚える必要がありません。そうしないと、脳の中で記憶の混乱が生じるからです。
 研究グループは、新規の神経回路の発見とともに、このように時間的に離れた2つの出来事の連結分離をアイランドセルと呼ばれる細胞集団が制御することを解明しました。今後、記憶の謎の解明がさらに進展していくと期待されています。