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インフレーション理論

 小さな超高温、高密度の火の玉状態のものが急激に膨張して今の宇宙ができあがったというのが、1948年にジョージ・ガモフらが提唱したビッグバン理論です。ところが、この火の玉がどうやってできたのかが謎とされていました。それを説明したのが、「インフレーション理論」です。宇宙創成の10のマイナス44乗秒後に始まって、10のマイナス33乗秒後に終了した、つまり、1秒の1兆分の1をさらに1兆分の1にして、またさらに10億分の1以下にしたという一瞬も一瞬、とてつもなくわずかの時間に宇宙の異常膨張が起き、これまた極小も極小の直径10のマイナス34乗cm(素粒子より遙かに小さい)のものが、インフレーション直後、ビッグバンの時には直径1cm以上になっていたとするものです。1981年に佐藤勝彦(現、自然科学研究機構機構長・東大名誉教授)氏が提案した理論です。
 その理論を裏付ける「原始重力波」の証拠を南極に設置した電波望遠鏡で初めて観測したと、米ハーバード大やスタンフォード大などの研究者が3月17日未明に発表しました。
 宇宙の始まりは約140億年前と考えられています。今も膨張を続けていると考えられているとてつもなく広大な宇宙では遠くは昔のことになります。光は1秒間に30万km進みますから、今見えている月は1.3秒、太陽は8.3分、アンドロメダ銀河は200万年昔の姿のように、もっと遠くを見れば宇宙の始まりの姿が見えることになります。ならば、宇宙の始まりは?佐藤氏によれば最初の宇宙は「無」から生まれたと考えられると言います。しかも「無」は単なる何もない状態ではないと言います。なんとも興味が尽きないところです。