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魚貝類やサンゴへの影響

 地球温暖化による影響が気になるところです。気候変動など環境の変化は私たち人間よりむしろもっと小さな動植物の方が敏感に感じたり影響を受けたりします。その変化に注意を払っておかないと、私たちが気づいた時には手遅れということにもなりかねません。人間の活動によって排出されるCO2の一部は海洋が吸収してくれていました。が、そのことにより海洋酸性化という問題が起こっています。
 海洋酸性化が進むと、海洋のCO2を吸収する能力が低下します。吸収する能力が低下すると大気中に残るCO2の割合が増え地球温暖化の加速が懸念されます。また、酸性化は動植物プランクトンやサンゴ、貝類、甲殻類などの成長に影響を与え、海洋の生態系に大きな変化が起きる怖れがあります。
 さまざまな海の生物は、「海水中に多く含まれるカルシウムイオンと炭酸イオンから、水に溶けにくい炭酸カルシウムの骨格や殻を作っています」(気象庁、知識・解説)。それは、水素イオンの濃度が充分低いために炭酸カルシウムの飽和度が高くなっている環境下でのことです。海洋酸性化が進むと、海水中の水素イオンが増えます。そうすると水素イオンと炭酸イオンが結びつき炭酸イオンの濃度が下がります。炭酸イオンが少なくなればカルシウムイオンと結びついてできる炭酸カルシウムも少なくなり、サンゴや貝類、甲殻類は骨格や殻の形成が困難になります。また、酸性化はプランクトンの生息や繁殖に影響を与え、生態系に変化を及ぼします。「有用な水産資源の量に左右される水産業や、サンゴ礁等の海洋観光資源に依存する観光業などへの影響も懸念されます」(同)。