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正常性バイアスとエキスパートエラー

 異常事態が起こっても「自分は大丈夫」とか「何とかなる」と心を平静に保とうとする働きは誰にでも備わったものだそうです。この働きがないと、日々の生活を送る中でチョットした変化や新しい出来事に過剰に反応したりしていると心が疲弊してしまうからです。災害心理学ではこれを「正常性バイアス」というそうです。
 ところが、実際に災害に直面した時に、この正常性バイアスの働きにより逃げ後れたり対応が遅れたりすることがあるようです。また、パニックにならないようにとの配慮のあまり、人々に状況を正しく伝えなかったり、平静を呼びかけて避難指示が遅れたりして事態を重大化してしまう「エキスパートエラー」もあるようです。事故や災害に対処するエキスパートといわれる安全管理者たちが犯す判断ミスのことです。
 「地震や火事に巻きこまれても多くの人々はパニックにならない」(「人はなぜ逃げおくれるのか」広瀬弘忠著 集英新書)。パニックは、「脱出は可能だという思いはあるが、安全は保障されていない」という状況下で「人々の間で相互のコミュニケーションが正常に成り立たなくなって」いて、我先にと競い合う中で発生しやすくなります。正確な現状認識と自分さえ良ければとする利己的行動ではなく、互いに力を合わせる共同行動で現場からの脱出を図らねばなりません。的確な指示を出すリーダーの存在も重要です。これらを踏まえて避難訓練を行なわなければなりません。